アイスランド旅行記(13) ― スカフタフェットルからレイキャビクまで(1)

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■7日目
この日は当初の予定では、スカフタフェットルに滞在してアイスランド最大のヴァトナヨークトル(Vatnajökull)の先端や氷河湖ヨークルスアゥルロンなどの見学であった(「ヨークトル(jökull)」は「氷河」の意)。
しかしながら、強風予報が出ているため、スケジュール変更となり、氷河の見学をしながレイキャビックに戻ることになった。

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8時30分にホテルを出発、ホテルの後に広がる氷河スヴィーナフェルズヨークトルの先端へ。

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ホテルからはアイスランドの最高峰クバンナダルスフヌークル(Hvannadalshnúkur 標高2,110m)も眺められる(右の後方、煙突が立っているように見える白い山)。

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1号線を西に向かい、2.5kmほどのところで右折、左手にスカフタフットルヨークトル(Skaftafellsjökull) を見ながら2.5kmほど入ったところでバスを降りる。

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スヴィーナフェルズヨークトル(Svínafellsjökull)はヴァトナヨークトルの南端エーライヴァヨークトル(Öræfajökull)から延びる氷舌(舌のように長く延びだした氷河の末端)のひとつだ(写真は下述の洪水メモリアルからの眺め)。

このあたり一帯は1967年にアイスランドで初めての指定された3つの国立公園のひとつスカフタフェットル国立公園に指定された。その後2008年にヴァトナヨークトル国立公園が指定されたのに伴ってその一部となっている。

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まだ日の出前の氷河は寒々としている。
波のうねりのように見える氷河の表面は、光が当たれば美しく輝くのであろうが、暗い中ではなんとも不気味だ。
目には見えないが、氷河が動くのであろう。しんと静まった中にときどき氷河が割れる音が聞こえる。

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この氷河ではトレッキングができるようで、マゥル・オク・メンニング社(Mál og menning)の発行する地図「SKAFTAFELL1:10000 1:50000」の5万分の1地図には、氷河の西端に沿ってトレッキング・ルートが記されている。

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氷河の先端に小さな氷河湖ができている。
氷河湖は氷食作用などによって生じた凹地内に氷河の融けた水がたまってできた湖である。これも日が当たれば美しいはずであるが、この時間には暗くよどんだように見える。

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20分ほどスヴィーナフェルズ氷河を見学した後、一旦ホテルへ引き返し、小休憩。
朝焼けが東の空を赤く染め始めた9時30分に再びホテル出発。。

バスの車窓からも朝焼けの雲が眺められる。
振り返ると、さきほどのスヴィーナフェルズヨークトルやクバンナダルスフヌークルがよりはっきりと見えるようになった。

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15分ほど走り、スケイザルアゥル川の手前にある洪水メモリアルで写真ストップ。

1996年10月から11月にかけて起きたヴァトナヨークトルにあるグリームスヴォトン湖(Grímsvötn)地下の火山噴火は、膨大な量の氷を融かして、スケイザルアゥル川流域に大洪水をひき起こした。
スケイザルアゥル川に架かるアイスランドで最も長い1号線の橋も崩壊した。
その橋の残骸が災害の記憶をとどめるため、残されているのだ。

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この位置から東を見れば、スヴィーナフェルズヨークトルやスカフタフェットルヨークトルなどの全景が眺められる。
それらを眺めていると特徴のある地形が目につく。

氷河の周りの尾根の末端がいずれも切り取られたように三角形になっている。
これは「三角末端面」といって、断層運動によって生じた地形で、この地域に活断層の存在を示すものであるといっていいだろう。

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西側を見ると、ヴァトナヨークトルから南に流れ出したスケイザルアゥルヨークトル(Skeiðarárjökull)とそこから沿岸まで続くスケイザルアゥルサンドゥル(Skeiðarársandur)が広がっている。

スケイザルアゥルサンドゥルはアイスランド最大の砂原で、スケイザルアゥル川が運んできた大量の溶岩や火山灰が堆積してできたもの。
広さは1,000㎢、氷河の先端から沿岸まで20~30km、沿岸部の長さは40kmに達する。

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このスケイザルアゥルサンドゥルは強風域で知られ、この日の午後からも40m/s以上の風が吹くと予想されて、翌日は通行止めが予定されているという。
ここを通過しておかないとレイキャビクに戻れなくなってしまい、帰国に支障が出るというので、この日のスケジュール変更になったのだった。

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洪水メモリアルでのストップ時間を除くと、スケイザルアゥルサンドゥルを通り抜けるのに都合30分ほどかかった。
そこから10分ほど走ると今度はブルナフロイン(Brunahraun)という溶岩台地になる。
ここはラーカギーガル(Lakagígar ラキ火山)の1783年の大噴火でできた溶岩台地の東端である。

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さらに5分ほど走ると、断崖絶壁の続く牧草地帯になり、集落もようやく現れる。

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絶壁にはシードゥ滝(Foss á Síðu)という細い滝がかかっている。
こんなに繊細な滝のせいだろうか、海からの強風にあおられて、滝の水が上に舞い上がるということだ。

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滝から10分足らずで前日立ち寄ったキルキュバイヤルクロイストゥル(Kirkjubæjarklaustur)に着く。
ここは12世紀にアイスランド初の修道院が創設された地として知られており、かつては単に「教会農場」を意味するクロイストゥル(Klaustur)と呼ばれていた。

人口は120人ほどであるが、銀行、郵便局、学校、ガソリンスタンド、スーパーマーケット、スポーツセンター、ホテルなどのサービス施設がそろい、西のヴィーク(Vík)と東のヘヴン(Höfn)の間にあって重要な拠点としての役割を果たしている。

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1186年にベネディクト会の女子修道院 (キルキュバイヤル修道院 Kirkjubæjar Abbey) がここに設置され、1550年の宗教改革まで存続していた。
当時の建物は1783年のラーカギーガルの噴火で失われ、村に現在ある教会は、1783年の噴火から村を守ったとされる牧師ヨゥン・ステイングリムソン (Jón Steingrímsson 1728 – 1791)を記念して建築されたものだ。

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ここには修道女にまつわる話が伝えられている。
二人の修道女がいわれのない罪、一人は男性との性交渉、一人はローマ教皇冒涜の罪で火刑に処せられたというもの。
この二人の修道女を記念するモニュメントが、村に新しくできた施設の西のはずれにひっそりと建てられていた。

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村の西の端にあるシストラフォス(Systrafoss)という滝 は寒さで凍りついていた。本来なら2本の流れになって落ちる滝である。
また、滝の源流であり、修道女たちが水浴びをする習慣があったという湖、シストラアヴァトン (Systravatn)はこの滝の上にある。
いずれの名称も修道女(Systra)に由来して名づけられたものだ。

バスで村の中を一回りして、再び1号線を西に向かう。

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スカフタ川(Skafta)の橋を渡り、キルキュバイヤルクロイストゥルの村を振り返ると、丘陵の左端にわずかにシストラアヴァトンが見える。
スカフタ川もヴァトナヨークトルの支流氷河スカフタアゥルヨークトル(Skaftárjökull)
を源流とする川である。

(つづく)

より大きな地図で スカフタフットルからレイキャビク2012 を表示

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