アイスランド旅行記(14) ― スカフタフェットルからレイキャビクまで(2)

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■7日目(つづき)
キルキュバイヤルクロイストルを出たバスは1号線を西へ向かう。
スカフタフェットルを出てまだ70km、先は長い。

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10分ほど走ると、エルドフロイン(Eldhraun)という広大な溶岩原にかかる。
ラキ火山の1783~84年の噴火で、565平方kmにも及ぶ広い地域が溶岩で埋め尽くされたのだ。
当時のアイスランドの人口の1/4、家畜の半分ががこの噴火で失われたという。

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車窓から見るエルドフロインは雪が積もっていてわかりにくいが、溶岩には苔が生えている。
溶岩原ができて230年、岩も丸みを帯びてきており、ゴツゴツした感じというより、苔むしてモコモコした感じになっている。

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エルドフロインを20分ほど走ると、今度はミールダルスサンドゥル(Mýrdalssandur)という砂原に変わる。
このあたりは前日の夕方通っているので、復習となるが、カトラ火山の1918年の噴火による大洪水によってできた砂原だ。
とにかく広い、この荒涼たる砂原を通過するのに30分以上かかっている。

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そんな殺風景な風景が続いた後、ヴィーク近くの1号線沿いの池にオオハクチョウが泳いでいるのを見つけた。
アイスランドで繁殖するオオハクチョウは、冬になるとアイルランドやイギリスに渡って越冬するが、一部はアイスランド南部でも越冬するという。
渡りの時期は10月というから、この3羽の幼鳥をつれたオオハクチョウはこのままこの地で越冬するのだろう。

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この日もまたヴィークで休憩。
レイニスドランガル(Reynisdrangar)の突き出た海は荒れている。
このあたりもやはり強風域ということで、ときどき高い波が激しく岩の柱を洗っているのが見える。

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ヴィークから再びバスは峠を越えて1号線を西へ走る。
次の見学地はソゥルヘイマヨークトル(Sólheimajökull)だ。
スコゥガル村へ入る道を過ぎ、さらに西に3kmほどのところを右折して222号線に入る。

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そこから5kmほどで氷河の先端に着く。
ここでも氷河トレッキングができるようで、駐車場近くにはトレッキングの案内看板が立っていた。

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この氷河はここ数世紀で前進や後退を繰り返しているようで、両岸は氷河で削れとられてごつごつとした岩肌を見せている。
火山灰の黒い砂で汚れているところもあるが、、近くに行くと深く青い色をした氷河であることがわかる。

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ところどころ尖った山のような形をした氷河、そこだけ取り出すと山岳模型のように見えるが、不思議な光景だ。

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雪解け水はヨークルスアゥ川(Jökulsá)に流れ出しているが、この川は卵の腐ったようなにおいがするので、地元の人たちは鼻つまみ川(Fúlilækur) と呼んでいる。
ミールダス氷河の下にはカトラ火山が横たわっており、この火山活動で放出される水素ガスが臭気のもとになっているとのこと。
カトラ火山はまだまだ活動しているようだ。

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氷河が間近に迫る222号線であるが、その沿線には牧草地もあり、20数頭の馬が飼料の周りに集まっている姿があった。

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昼食はホテル・アンナ
 ・シュリンプカクテル
 ・ペッパーステーキ サラダ添え

ホテル・アンナはエイヤフィヤットラ火山の麓にあるモルドゥヌープル(Moldnúpur)農場にある。
スコゥガルから1号線を15kmほど西へ行ったところで右折し246号線に入って1kmほどのところだ。

1927 年に建てられた家を改装してホテルとしており、レストランの料理は地元の伝統料理、食材は地元の農家や漁師から仕入れているとのこと。

ホテルの名前になっているアンナとは、1901年Gerðarkotで生まれ、その後両親とともに モルドヌープルに移り、そこで機織りをしたり、酪農に従事したりしていたが、学問を身につけ、海外に旅行したり、政治活動をしたりして、アイスランドの政治文化に大きな影響を与えた女性である。

2階のギャラリーではアンナの生涯を紹介する「世界を旅する女酪農家」が展示されている。
食事後、そのアンナの生涯を紹介するビデオを拝見することができた(日本語版が用意されている)。

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再び1号線に戻り、山側を見るとなんとそこには水墨画のような風景が展開している。
思わず息をのむ黒と白の世界だ。
稜線から谷に向かって伸びる無数の直線は、あたかも一筆で描きおろしたような錯覚を覚える。

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このホテル・アンナとその周辺の教会や農地を抱え込むようにして立っている緩やかな斜面は、エイヤフィヤットラヨークトルから伸びてきている山稜だ(写真右の方に見える赤い屋根がホテル、左の尖塔が教会)。

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海側を見ると、沖合にヘイマエイ島(Heimaey)が目に入る。
ヘイマエイ島は、アイスランド本島の南10kmに位置するヴェストマン諸島(Vestmannaeyjar)の中で唯一人が住む島。
人口は4,500人で大半が漁業に従事しており、島の漁港はアイスランドで第一の水揚げ高を誇る。

この島もまた噴火の歴史がある。
1973年にヘイマエイ島で起きた噴火は町の半分を溶岩流で埋め尽くし、町は壊滅状態となった。
幸い島民は避難し、人的被害は出ず、その後の懸命の復興作業の結果、今日では元の活気を取り戻しているということだ。

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この先しばらくは車窓からの風景を眺めて過ごす。
10分ほどでセリャラントスフォスの滝の横を流れていたマルカルフリョート川を渡る。

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このあたりは酪農地帯のようで、牧草地がひろがり、農家が点在している。
1号線沿いにも牧草ロールが積み上げてあるところが数ヵ所あった。
前日より沿線の雪の量が多くなっているので、昨夜にでも降ったのであろうか。

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やがて前日休憩をとったクヴォルスヴォットルルの町に入る。
キルキュバイヤルクロイストルを出てから車窓から見る風景は、溶岩原、砂原、牧草地、それに雪と氷がほとんどであった。
ここにきてようやく、高い樹木が生育しているのを見る。
街路樹として植栽されているところもある。

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小さい町であるが街並みを眺めていると、銀行、スーパー、ホテル、レストラン、スポーツジム、ガソリンスタンドなどサービス施設は整っているようだ。
今回はこの町はノンストップで通過した。

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右手にヘクラ火山を眺めながらバスがセルフォスの町に到着したのは16時すぎ。
さすが、セルフォスはほかの町や村に比べて大きい。
1号線沿いに衣料品や食料品の店舗、レストラン、銀行などが建ち並び、新しい住宅も見られる。

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ここで30分ほど休憩。
ここのスーパーは比較的大きいので、チョコレート、海産物などをお土産にするのもいい。

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セルフォスから30分ほどで1号線を走り、この日最後に訪れたのはヘンギットル(Hengill)にあるヘトリスヘイジ地熱発電所(Hellisheiðarvirkjun)である。
見学を急遽お願いし、しかも17時を過ぎていたのに、係の方から地熱発電の仕組みや発電所の概要を懇切丁寧に説明をしていただいた。

画像2006年に開業した最新設備の地熱発電所で、建物正面もガラス張り、発電所のイメージからはほど遠い。
それもそのはず、内部は博物館として一般に公開されている。
ビデオによる紹介やタッチパネル・ディスプレイを使った双方向の展示など、わかりやすく説明されていたのに感心した。

ここは世界で2番目、アイスランドでは1番の規模を誇る地熱発電所とのことで、出力は電力で303MW、熱湯で133MWだという。これは大分県にある国内最大の八丁原地熱発電所の110MWの3倍弱の規模になる。

この発電所には日本企業の技術も導入されている。
三菱重工業が出力45MWHの蒸気タービン6基、東芝が33MWHの低圧蒸気タービン1基を納入設置しているとのことだ。

画像1号線からレイキャビック市街へ入る手前の湾岸で「イマジン・ピース・タワー」の光のタワーを見ることができた。

これは、レイキャビクの沖合に浮かぶヴィーズエイ島(Viðey)に、ジョン・レノンの妻オノ・ヨーコが世界平和を祈念して2007年に建設したモニュメントで、毎年ジョン・レノンの誕生日10月9日から命日の12月9日まで点灯される。

台座から真上に向けてライトが照らされており、まるで天まで届きそうな青白い光のタワーが浮かび上がっていた。
絶えることのない戦争や紛争、真の世界平和の実現を願わずにはいられない。

今夜のホテルは、市内のフォスホテル・リンド(Fosshótel Lind)になった。
340km、長い1日の旅が終わった。


より大きな地図で スカフタフットルからレイキャビク2012 を表示

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